■映像の長さ 約19分 / Aeプロジェクトデータ(ページ最下部)
補足:標準エフェクトのみ
■完成映像イメージ
■この講座で学べること
・デジタルグリッチとノイズの作り方
・調整レイヤーとコラプスで効率的にエフェクトを反映
・レイヤーモードを活用してルックを上げる考え方
推しのポイント!
簡単にアレンジも可能で、載せるだけでモーショングラフィックスをレベルUPできるので、一つ仕込みで持っておくと、いざというときに命拾いするかも、、w
■目次
00:00 Element3Dの質感を上げる6ポイント
00:31 E3Dで文字をデザインする
02:17 フィルター用のコンポジションをつくる
07:18 コラプスでエフェクトがコンポジションをまたぐ!
10:00 応用① 反転フィルターを作る
12:36 応用② 赤いグリッチフィルターを作る
▼制作の流れ
【図.01】
まず、完成図を確認してみましょう。コンポジションの構造は、上二つのレイヤーがフィルターになっていて、その下に動画を並べています。それでは早速作っていきましょう。
01.ベースになるシェイプアニメを作る
【図.02】
まずはベースとなる長方形のシェイプをつくり、
そこにエクスプレッションを付けてランダムな動きをつけます。
その後、複製して基本のアニメーションを作成します。
①新規コンポジションを作ります。フルHD、デュレーションは20秒で作りました。
名前を【shape_anime】にしておきます。
②新規シェイプレイヤーで長方形を作ります。
③これの位置にwiggleのエクスプレッションを追加します。
wiggle(3,1500) ;
これは、一秒間に3回、1500の幅で動くという意味になります。
このレイヤーはエクスプレッションで動かしているので、
レイヤーを増やすと、ランダムな数値がかかる特性があります。
④複製した長方形を大小様々な大きさに変えます。
【GIF.02】
がちゃがちゃと動くアニメーションができました。
02. フィルター用のコンポジションをつくる
それでは、このshape_animeのコンポジションを図03の場所にドラックします。
すると、shape_animeが入った新しいコンポジションが作成されました。
(shape_animeのシェイプレイヤーを全選択してプリコンポーズしても同じです)
【図.03】
新しいコンポジションの名前を【filter】にしておきます。
分かりやすいように【shape_anime】と【filter】をCOMPというフォルダーにまとめておきましょう。
フィルターを見やすくするために仮の動画を下にひいて置きます。
このままでは白い四角がごちゃごちゃ動いているだけですね。
この白い四角をマスクにしてエフェクトを作っていきたいと思います。
調整レイヤーを作成します。名前を【FX】にしておきます。
shape_animeレイヤーの下に置き、トラックマットをアルファマットにします。
【図.04】
【FX】に、エフェクト → カラー補正 → トーンカーブを適用し色を持ち上げます。
さらに、エフェクト → ディストーション → トランスフォームを適用します。
エフェクトの順番をトランスフォームがトーンカーブより上に来るように配置します。
エフェクトのトランスフォームのスケールを130くらいにします。
これで、マスクが掛かっているところだけ、拡大され、かつ明るくすることができました。
しかしこのままでは動きが早すぎます。
shape_animeレイヤーのコマを落とします。
【shape_anime】にエフェクト → 時間 → ポスタリゼーション → ポスタリゼーション時間を適用します。
フレームレートを8にして、長方形の動きをコマ落ちさせます。
【GIF.03】
さらにグリッチっぽく長方形を変形させます。
【FX】に、エフェクト → イマーシブビデオ → VRデジタルグリッチを適用します。
これは唯一公式にあるグリッチだと思います(たぶん)
ただVR用なので正しい掛かり方ではないとは思いますが、そもそもグリッチなので良しとしましょう。
これを掛けるとバグった感じの表現ができます。
画が寂しいときに掛ける用のフィルターとしては丁度いいのではないでしょうか?
パラメータをいじってイイ感じの値を見つけます。
【図.05】
参考までに、このような値にしました。
さらにマスクにしているshape_animeレイヤーの方にもVRデジタルグリッチを適応させると
マスクの方にもグリッチがかかりさらにバグった表現ができます。
これで基本のグリッチが完成しました。
【GIF.04】
03. コラプスでエフェクトがコンポジションをまたぐ!
実はぼくも知らなかったんですが、
コラプスをするとエフェクトがコンポジションを跨いでくれるんです。
どういう事かと言うと
今、filterコンポジションの中身はマスク、調整レイヤー、仮動画が入っている状態です。
ここで仮動画を削除し、マスクと調整レイヤーだけの状態にします。
このコンポジションを別の動画の上にのせても何も起こりません。ですが、コラプスをかけるとエフェクトがプリコンポジションを跨いで、メインコンプ上で反応してくれるんです。
【図.06】
コラプスはグループ化に近いのかもしれません。
プリコンプ内で処理をせず、次のコンプで処理をするということらしいです。
これの良いところは、ただのフィルターなので、
スケールをかけたり、複製して、数を増やすことが容易です。
なので、後から重ね掛けできるので、最初に作るフィルターはそこまで数を多くしなくても大丈夫です。
04. データをコピペして別タイプにアレンジしよう!
【応用①】色味反転フィルター
filterコンポジションを複製して、別タイプのフィルターを制作します。
分かりやすくするためにfilterは【filter_glitch】にします。
複製したコンポジションの方で新しいフィルターを作成します。
まず、shape_animeレイヤーと調整レイヤーにかかっているVRデジタルグリッチをオフにします。
【FX】にエフェクト → チャンネル → 反転を適用します。
トーンカーブを反転の下に持ってきて、コントラストを強めにしておきます。
このフィルターコンポジションの名前は【filter_invert】にしておきます。
先ほどのグリッチフィルターの上に乗せるとさらに複雑な表現ができます。
【GIF.05】
【filter_invert】の開始位置やスケールを変えてランダム感を出すといいでしょう。
【応用②】赤いグリッチフィルター
さらに【filter_invert】を複製します。
【FX】のトーンカーブを調整し、色を赤くしてみましょう。
【図.07】
白黒の素材に赤いものが乗ると画が映えます。
これで、コラプスして乗せる使い勝手のいいフィルターを3種類作ることができました!!
■ちょっと余談
サンゼは、イベント系の映像を作ることも多いのですが、クライアントから提供された素材がショボくてそのまま繋ぐと、しんどく感じてしまうケースもあります(^_^;)
でも、こういうときに限ってクライアントから「ちゃきちゃきっと、かっこよくしてくださいw」というオーダーが来るんですね。
で、そういうときに、今回みたいなエフェクトをいくつか用意しておくとスムーズに対応できると思います。0から作っていくと時間がかかってしまうので、自分でいくつかストックしておくのがおすすめです。
と、話が脱線してしまいましたが、今回の肝は「コラプスでエフェクトを跨げる!コンポジションをフィルターみたいに使えるよ!」ということです。
組み合わせ次第で、グリッチにしたり、反転させたり、赤くさせたり、色々乗せるだけで
画が一気に持つ状態になる。
ちなみにぼくは「ふりかけ素材」を100~200個くらい作っているんですけど、ふりかけ素材を【減算】でフィルターの下にランダムに置いていくとこのようにふりかけ素材にもフィルターがかかって、凄い映像になります。
これはさすがに乗せすぎですが…一度フルフルで乗せて後で間引いていくのがいいですね。
でも、画がショボくて困ったときにはマジで助かります。
05. おわりに
今回ご紹介したようなイメージで、載せるだけでいい感じになるフィルターや、モーショングラフィックスのふフリカケ素材を、10個ずつくらいストックしておくと、いざという時にしのぐことができます。時間があるときに是非トライしてみてください!
■素材は有料の素材サイトArtGridの映像を使用
今回チュートリアルでは、有料サイトの動画を使用しています。配布AEPに内包している実写映像は権利の都合上、ブラックに塗りつぶししています。オリジナル素材をダウンロード頂いて差し替えるか、似たシュチュエーションの動画素材を撮影してみてお試しください。
▼ダウンロード(背景の素材は何でもOKなので下記の素材は使わなくてOKです)
■ArtGridの優待リンク
▼プロジェクトファイルをダウンロード
収集環境
Ae CC2020 (17.6.0)
※その他、有料プラグインを使用しているケースもあります。お持ちでない方は各プラグインの体験版などで作り方を学んで頂けますと幸いです。個別での質問やサポートは行えませんのでご了承ください。